それぞれの講演のより詳しい内容は、後ろにまとめてありますのでご覧ください。 初日の講演終了後に講演者達と当教室の他の教師等を交えてのささやかなお茶の会を設ける予定です。
期間 |
平成16年6月28日から8月6日までに必着の事 |
方法 (郵送) |
郵送の場合は葉書に
住所、 氏名、 学校名と学年(高校生のみ)、
連絡先電話番号またはe-mailアドレス
及び「理ムヌヨ゙ヘィ_ヨミケフ蟯ハヘホィメサケルヘ数学科公開講座受講希望」と明記の上、下記の申込先にお送りください。 |
方法 (その他) |
電話またはファックス、e-mailによる申込をする場合は、下記の申込先へ、「理ムヌヨ゙ヘィ_ヨミケフ蟯ハヘホィメサケルヘ数学科公開講座受講希望」の旨を伝えるとともに、
住所、 氏名、 学校名と学年(高校生のみ)、
連絡先電話番号またはe-mailアドレス
をご連絡下さい。 ただし、電話による受け付けは、平日の10:00--17:00の間のみとさせていただきます。
なお、8月19日のお茶の会に出席を希望される方は準備の都合上「お茶の会出席希望」と明記してください。
|
申込先 |
〒630-8506 奈良市 北魚屋西町 奈良女子大学 理ムヌヨ゙ヘィ_ヨミケフ蟯ハヘホィメサケルヘ数学教室
TEL:(0742)20-3369 FAX:(0742)20-3367
e-mail:math-dep@cc.nara-wu.ac.jp |
FAX送信用申し込み用紙(PDFファイル) こちらを送信用にお使い頂けます。
森本 徹 |
ユークリッド幾何から非ユークリッド幾何そして様々な幾何へ |
ユークリッドの原論は2千年をこえる長い時代に亘って読み継がれてき,それまで幾何学といえば ユークリッド幾何であった.しかし1820年代にロバチェフスキー,ボヤーイによって
非ユークリッド幾何がうち立てられ,幾何学においてまさにコペルニクス的転回が起こった. 幾何学は自然界の拘束から解放され思惟の自由な世界へと飛び立ったのである.そしてこれが様々な
新しい幾何の誕生を促し,さらにはそれら様々な幾何をより統一的に捉えようという研究へと発展 していく.
この講義では,非ユークリッド幾何の誕生から現代の幾何へと向かう幾何の流れの中から いくつかのおもしろい話題を選び高校生にも分かるような話をしたい.
「数学は論理的な学問である」ということは皆さんの共通の考えだと思います.例えば高等学校の 学習指導要領の中では次のように書かれています.
第5 数学A
・・・
2 内 容
・・・
(2) 集合と論理
図表示などを用いて集合についての基本的な事項を理解し,統合的に見ることの 有用性を認識し,論理的な思考力を伸ばすとともに,それらを命題などの考察に生
かすことができるようにする。
・・・
ところが,この「集合と論理」は大部分の高校生にとっては論理的な思考力という言葉とは 程遠い暗記すべき項目になってしまっているように見えます.今回の講座では数学における
論理の取り扱いに関して,高校の教科書より少しだけ踏み込んだ視点でご紹介したいと思います.
この講義では,私達が毎日接している天気予報と数学がどの様な形で関わっているのか,に ついてお話ししたいと思います。
具体的には,天気予報を行う一つの方法として,次の(数値的気象予測と呼ばれている) アプローチ法を取り上げてみたいと思います:
1. まず,「天気」と我々が呼んでいる事象を つかさどるものとして地球上を覆う「大気」と「海」という2種類の「流体」の挙動に注目する。
2. この「大気」と「海」の流れを記述する「基礎方程式」をニュートンの法則から導き出す。
3. この基礎方程式を,ある時刻での観測値(適当な観測地点における温度,圧力,風向, 風力等のデータ)を出発点として,未来に向かって「解いていく」ことにより将来の天気を予測す
る。
実際,このアプローチ法は 人工衛星等の観測機器やコンピューター等のデータ処理能力が近年飛躍的 に向上したことにより,上記2.
で導出した「基礎方程式」(あるいはその「簡約化方程式」)が 「数値的には解ける」ようになってきた為,天気図作成や地球規模の気候変動予測などに盛んに用い
ら れる様になってきています。
このように,数値的気象予測は応用的側面から大変活発な研究が進んでいる分野ですが,その基礎 となる部分は,現在まで蓄積されてきた多くの数学的事実や方法によって支えられています。同時に,
数値的気象予測で得られた新たな知見から,今まで無かった数学的視点が生まれたり,数学の問題と して取り組むべき重要な課題が提示されたりもしています。
講義の中で,「天気予報」という身近な題材を通して,このような気象や気候などの「複雑な」現 象と数学との「相互作用」が織り成すダイナミズムの一端を紹介できれば,と考えています。
私は来年3月で定年退官を迎える。この公開講演で話す機会を頂いたので、私の数学生活を振り 返って、専門である複素関数論の話を中心に話をしようと思う。広島大学では複素一変数の関数論を
学び、26歳のときに初めて小さいけれども数学における発見と言うものを知った。その後、京都に 出てきて、いわゆる大学紛争に出会った。当時は3、4回生の学生さん達から「山口さんは何のため
にそんな数学をやっているのか」と何時間もかけて質問された。私はそれに対して彼等を、および私 自身 を、納得させる答えを見出せなかった。それまでの数学に対する自分の態度を思い悩んだ。
色々ことがあって、29歳のころ岡先生の複素多変数関数論にめぐり合い、先生のお弟子さんである 西野先生に教えを請う機会を得た。岡の論文を勉強していくうちに、ここでもし自分の数学が何とか
出来るのであれば、何パーセントかの人々に対して、少なくとも自分に対して、数学することに対す る ある種の納得ある答えを見出すことが出来るような気がした。
自分の数学とは、「私が考えたオリジナルなことが3年生以上の学生さんに対して話したとき、少な く ともその基本的なことが面白く分かってもらえ、しかも、その内容が 数学者の前でしゃべっても
独創性をみとめてもらえる」そのような数学のことである。 この講演では、上の意味での数学を得 た 私の小さな2,3の経験を聞いてもらえればと思う。
|